OTONOSE

日々聴きながら

とある年の瀬にて

今よりラジオや歌番組が強かったあの頃、流行りの歌はツタヤで

シングルを借りて追ってた僕は、その年の紅白歌合戦はもちろん

楽しみにしていました。

 

どの曲も「あ〜こんな曲あったなぁ。」と子供ながらに自分の

一年を振り返りながら見ていましたが、  この年はX JAPAN

解散する年で、この紅白をラストステージとしてForever Love

歌うことになってました。

 

曲は知っていましたが、確かX自体を見るのは初めてだったような

気がします。司会だった中居くんの曲紹介の発音がやや気になりつつも、

演奏は始まりました。

確かイントロの一瞬だったと思いますが、画面を見て衝撃を受けました。

 

髪も服も全身真っっピンクな人が、ちょっと不機嫌そうにギター弾いている。


服なんて、ビニール傘みたいなテカテカ素材。目線も何か合ってないし、目の周りも

妙に黒い。おまけにギターは黄色にハート。

 

明らかに異質。どう考えても曲調とは違うベクトルのファッションだし、

バンド内でも一人だけ放つミュータント感。


よく見たらYOSHIKIだって半裸に透明なジャケットだから、他のアーティスト

に比べたら十分なインパクトだけど、「裸」のカードは小学生でも何とか

使える。

ただこの人の危なさは、ちょっと攻め方が違う。

防御の型も全く分からないので、空いた溝落ちをガッサリ抉られる。

 

たかが10年そこらしか生きていない僕には到底理解できない世界の住人が

そこにはいました。

見てはいけないものを見てしまった気がして、もう一人でハラハラしながらも

視線はピンクを追いかける。

他の家族は普通に「解散するんだね〜」くらいの普通に受入れてる感じなのも

逆に怖い。

 

この先何十年も効き続ける毒を見事注入されたことには気付く訳もなく、

ただ目の前で起きた衝撃にフラフラしながら何とか布団入り年を越した

ことを、今でも覚えています。

 

(年明早々にミュージックステーションで楽しそうにレーザー光線出してる

姿で再会。ここから一気に毒が周り始める笑)

 

思えば自分の中で音楽への憧れを抱くようなったきっかけは、

ここにあったので第一回の投稿とさせていただきました。